翡翠の追憶 9

 ざわざわ。
 ざわざわざわ。

 そんな感じで、ざわめきが迫ってくる。
 それを構築しているのは、怒り。

 ……怒り?

 どうして、彼らにそれを向けられなきゃならない?

 今まで、護ってきたのに。
 自分を殺して。
 自分の存在を閉ざして。
 ……生命も削っていた、らしい、のに。

「巫女が男だっただと!?」
「どういう事なのだ、ディアヌ!」
「我らを、騙していたのかっ!?」

 責められている。
 どうして?
 それを……そうする事を望んだのは、ぼくでもなきゃ、母でもない。
 それを望んだのは……。

「何という事をしてくれたのだ、お前たち……」

 ……ちょっと、待ってよ。
 何故、あなたがそこにいる?
 ぼくらにそれを望んだのは。
 そうさせたのは……あなたじゃなかったのか、長?

「って、てめえ! てめえが無理言ってやらせてたんだろっ!!」

 人々の先頭に立って、殊更に苦悩したような顔をしている長に向け、ジェイ
ドが叫んだ。

「なにを馬鹿な事を! 何故、私が神聖なる儀式を自ら汚すような真似を!」

 ……強要していたのに?
 自分は……知らないって?

「……勝手な……事を……」

 低い呟きが、口をついた。

 ざわざわ。
 ざわざわ……。

 何かがざわめくのが、聞こえた。
 人の声じゃなくて……もっと大きな……そう、これは……。

「……ラキィ? ……っ! ダメだ、止めろ!!」

 異変に気づいたのか、ジェイドが叫んだ。


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