目次へ




   7 嵐の前に嵐は消えて

『……ごめんね……』
 今にも消え入りそうにか細い声。それはしきりにこう繰り返していた。
『ごめんね……みんなを……私たちを、許して』
 それが残った力を振り絞った最期の願いなのはわかっていた。そして、他の
事であれば頷く事もできたかも知れない。だが、この願いだけは聞き入れる事
はできなかった。
 わかってしまっていたから。
 それらが不要である事、ここに存在してはならないものだと気づいてしまっ
た後だから……頷けなかった。
『……ごめんね……カヤト……』
 掠れた声が悲しげに呟く。それが最期の言葉であり、そして、灰色の悪夢の
始まりでもあった……。

「……っ!!」
 一瞬の空白と暗転を経て、夢が破れる。目を開けたカヤトは深いため息と共
に額に手を当て、それから、冷たく滲んだ汗を拭った。
「……感傷か……醜態だな……」
 自嘲的に呟くと、魔竜が低い唸りを上げつつカヤトを見た。そちらを見たカ
ヤトは真紅の瞳に宿る、物問いたげな光に小さくため息をついた。
「……あの影竜の事か……わかってはいる。だが……今更、それに何の意味が
ある?」
 呟くように言いつつ、カヤトは頭上を見上げた。雨は激しさを増しているも
のの、それは光の壁に遮られ、こちらに届く事はない。
「最早、意味などない……聖域が汚された時から、一族の役目は意味を成さな
くなった」
 グゥゥ……
「何の意味もない……今となっては、それがあるがままの事象なのだから」
 掠れた声で呟きつつ、カヤトは目を閉じる。まどろみに身を委ねる事が悪夢
を導くと知りつつ、しかし、今は他に何かしようという気にはならなかった。

「……は? 招霊術?」
「うん。確か、精神精霊魔法の一つよね。使える?」
 とぼけた声で聞き返すアヴェルに、イヴは真面目な面持ちで頷きつつ、重ね
て問いかけた。アヴェルは頬を掻きつつ、一応は、と頷く。この返事にイヴは
ほっと息をついた。
「そう……それなら、何とかできるかも知れないわ」
「何とかって、何をどうしようってのさ?」
 安堵していると、アヴェルが怪訝そうに問いかけてきた。さすがにと言うか、
朝一番に投げかけられた問いに戸惑っているらしい。この疑問に、イヴはちょ
っとね、と言いつつ朝食用に集めてきた果実を手に取り、一口かじった。程よ
い酸味を交えた甘い果汁が口の中に広がる。
「って、あのね。禁呪を使えるかどうか聞いてきて、『ちょっとね』で済まさ
れちゃかなわないんだけど?」
 一方のアヴェルは眉を寄せた渋い顔でこんな事を言うが、
「後で説明するわよ。とにかく今は、朝ご飯」
 イヴはさらりとそれを受け流した。それから、イヴは丸まったまま動こうと
しないシャイレルをそっと撫でてやる。夜が明けてから、影竜はずっとこんな
調子だった。抱え上げようとしてもそれを拒み、ずっと丸まったままなのだ。
「シャイレル、ほら、ご飯食べよ? ね?」
 きゅうう……
 呼びかけに、シャイレルはか細い鳴き声を上げる。その響きからははっきり
それとわかる、強い不安が感じられた。
「そんなに心配しないで。きっと、大丈夫だから。いい子だから、ちゃんとご
飯食べよ、ね?」
 きゅう……
 でき得る限り優しく呼びかけると、影竜はか細く鳴いて顔を上げた。青い瞳
に宿る不安を、イヴは穏やかな笑みで受け止めてやる。とにかく今は、不安を
和らげてやるより他にないのだ。シャイレルはしばしイヴを見つめ、それから、
ようやく動き出した。
 きゃうう
 ティムリィが気遣うような声を上げつつその隣りに行き、良く熟れた果実を
選んで押してやる。シャイレルはきゅ、と短く鳴いて、ティムリィの選んだ果
実に噛み付いた。
 そんな微笑ましい光景の一方で、質問を受け流されたアヴェルは物言いたげ
な仏頂面をしていたが、やがてため息と共に自分も果実を手に取った。どうや
ら、食事が済まなくては話にならない、と悟ったようだ。
「……それで?」
 食事が済むなり、アヴェルは真面目な面持ちで問いかけてきた。
「招霊術なんていう面倒極まりない禁呪を、一体、君は何に使うつもりなのか
なぁ〜?」
「……なんだか、嫌そうね」
 口調は軽いが目つきは厳しいアヴェルの様子に、イヴはやや気圧される。
「そりゃ、嫌ですよぉ。なんせ、痛いからね、あれをやるのは」
「痛い……って?」
 きょとん、としながら問うと、アヴェルははーっとため息をついた。
「何なのよ?」
「あんまり、やりたかないんだよ。こないだはたまたま不覚を取っちまったん
で、あれだけの血を使えたけど。意図的にブラッディ・ゲートを開くのは、オ
レとしては苦痛なんだよね」
「ブラッディ・ゲートって……もしかして」
 覚えのある言葉にイヴははっと息を飲み、アヴェルはそ、と短く言って頷い
た。
「あの時の……魔方陣……」
 呟きつつ、イヴはイシュファの神殿島での事を思い出していた。あの時、ア
ヴェルはイヴを庇って深手を負ったものの、その傷を逆手にとって強力な魔法
を発動させていた。自らの血を持って魔方陣を描き、相当に高位の精霊を召喚
していたような気もする。
「ごめんなさい……あたし、ちょっと気楽に考えてた」
 魔方陣が描かれるまでに流れた血の量を思い出したイヴは、素直に謝ってい
た。確かに、あれだけの流血は相当な苦痛を伴うものだろう。
「ま、いいんだけどね。でも、なんだってここで招霊術なんて出てきた訳?」
 そんなイヴに、アヴェルはやや表情を和らげてこう問いかけてくる。イヴは
小さくため息をつき、それから、海の方を見た。結界越しに見える海は相変わ
らず、激しく荒れ狂っている。
「……海に沈んだ巫女」
「え?」
「ブランシュの、恋人だったっていう巫女なら、彼を救える……そんな気がす
るの。少なくとも、あたしたちよりは、彼の事をわかってるし、思っているは
ずだから」
 イヴの説明に、アヴェルはふむ、と言いつつ胸の前で腕を組んだ。
「確かに、完全第三者のオレたちよりは、芽があるかもな」
「それでしょ? それに……」
 ここでイヴは言葉を切り、表情をやや険しくした。
「それに……何?」
「逃げちゃいけなかったのに、逃げちゃったんだから、彼女は」
 静かに言いきると、アヴェルは確かにね、と苦笑する。
「色々、あったんだろうけど……まあ、そうとも言うかな?」
「そうとしか言わないわよ。それで……」
 言いつつ、伺うようにアヴェルの方を見ると、魔導師はやれやれ、と言いつ
つ息を吐いた。
「ま、君の頼みとあっては、無下にもできないでしょ〜? それに、それが状
況を改善する、唯一の方法なのは間違いないしね……やってみましょう、痛い
けど」
 痛いけど、のところだけ妙に強調した物言いにイヴはあのね、と呆れた声を
上げる。それでも、アヴェルがこちらの意図を理解してくれた事には、強い安
堵を感じていた。
「とはいえ、ここじゃちょっとやり難いかな……嵐竜くんとチビさんたちには
ここで待ってもらって、奥の方まで行くようかな?」
 ぐるりと周囲を見回しながらの言葉にイヴはきょとん、と瞬いた。
「ここじゃ、問題?」
 感じた疑問をそのまま投げかけると、アヴェルはかく、とコケて見せた。
「砂地でできるものでもないと思いますがー」
 それから、がじがじと頭を掻きつつこんな事を言う。言われてみれば、砂地
に血を垂らしても溜まる事なく染み込んでしまうだろう。
「ああ……そっか。奥の方の、草地の方がいいんだ」
「そ、そう言う事。んじゃ、場所探しと行きますか」
 イヴの言葉に頷いて、アヴェルはゆっくりと立ち上がる。それにうん、と答
えてイヴも立ち上がり、二人は竜たちを残して島の奥へと向かった。
 ……きゅう……
 二人が木々の奥へ消えると、シャイレルが不安げな声を上げた。
 ……きゃうぅ
 不安げな影竜をなだめるように、ティムリィがその横に擦り寄る。そんな仔
竜たちの様子をシェーリスは穏やかな表情で見つめていたが、不意に、頭上を
振り仰いで低い唸りを上げた。
 ……グゥゥ……
 相変わらず荒れ狂っている、空。だが、叩きつける雨の勢いは、ほんの少し
だけ弱まっているように、嵐竜には感じられた。

 木立の中に入ってしばらく進むと、開けた草地が見つかった。アヴェルはそ
こで足を止め、うん、と頷く。
「この位の広さがあれば、大丈夫かな? 足元もまあ、しっかりしてるし」
 こう言うと、アヴェルはやや遅れてやって来たイヴににっと笑いかける。そ
の笑いに、イヴは何故か嫌な予感を覚えていた。
「じゃ、それでは早速やってみようか〜……っと、その前に」
「……え?」
 途中で意味ありげに途切れた言葉にイヴはきょとん、とし、それはそのまま
隙となる。アヴェルはにっと笑うと素早くイヴを抱き寄せ、唇を奪っていた。
「あ……あのねぇっ……」
 唇が離れるなり、イヴは頬を染めて文句を言うが、
「だってねえ、痛い訳ですし。いくらオレでも、それで無償労働はしたくない
からね〜。取りあえず、半分先払いってコトで」
 アヴェルは平然とこう受け流した。
「な、なんで半分なのよっ!?」
「さて、なんでかなぁ?」
「あ、あのねぇっ……」
 いつもの事と言えばそれまでなのだが、どうにもペースを乱されてしまう。
思いっきりむくれるイヴの様子に楽しげにくすくすと笑うアヴェルは例によっ
て余裕綽々の体で、それもイヴとしては癪に触った。
「じゃ、真面目に、やってみるとしますか」
 一しきり笑った所で、アヴェルは一瞬で表情を切り替えつつこう言った。こ
の言葉にイヴはぶつぶつと文句を言いつつも頷く。
「と、言う訳で……それ、貸してもらえるかな?」
「え? それって……」
「だから、その剣」
 首を傾げるイヴに、アヴェルはその腰の真紅の鞘に収まった剣を見つつ静か
にこう言った。思わぬ言葉にイヴはまたきょとん、とする。
「……これ?」
「うん」
「どうして?」
「いや、多分一番切れ味がいいし……それとも、直接ここ、斬ってくれるのか
な?」
 右の手首を示しつつ、にこにこと言われても正直困る。イヴは眉を寄せつつ
アヴェルと剣とを見比べ、わかったわよ、と呟いた。他者にこの剣を使わせる
のはあまりいい気分ではないが、自分でアヴェルに血を流させるよりはマシと
思えたからだ。
 鞘ごと外してはい、と差し出すと、アヴェルは左手で剣を掴んで鞘から抜き、
一つ深呼吸をしてからその刃を自分の右手首に滑らせた。真紅があふれ、その
瞬間、アヴェルの顔が歪む。イヴも、血がしぶいた瞬間に寒気のようなものを
覚えて身を震わせていた。
「……悪いけど、血を拭くのはお任せします……」
 血を滴らせつつ、それでもアヴェルは笑いながらこう言って剣を返してきた。
イヴは無言で頷いて剣を受け取り、その刃を拭って鞘に収めると、それを抱き
かかえるようにしつつ後ろに下がった。
 血がゆっくりと滴り落ち、地面を真紅に染めて行く。
「……」
 それが必要なのはわかっている。そして、そうする事を望んだのが自分であ
る事も、理解はしていた。だが、こうして真紅が滴り落ちる様子を間近に見る
のは、やはり、辛い。それでも、目をそらす訳にはいかないという意地にも似
た思い故に、イヴはじっとアヴェルの手首から真紅が滴り落ちる様子を見つめ
続けた。
 当のアヴェルはと言えば落ち着いたもので、滴り落ちる真紅をじっと見つめ
ていたが、地面の染みがある程度まで広がったところで唐突にあ、と短く声を
上げた。
「って……な、何よ、いきなり?」
 突然の事にイヴは調子を狂わされつつこう問いかける。アヴェルは左手でが
じがじと頭を掻きつつ、困ったようにイヴを見た。
「いやさ、招霊術って、禁呪なんだよね」
「それは、さっきも聞いたけど……それが、なに?」
 唐突な言葉に戸惑いつつ問うと、アヴェルはだからぁ、と大げさなため息を
ついた。
「禁呪っていうのは、緊急時を除いて、人前でやっちゃいけないって決まりが
あるんだよねぇ、これが」
「……だから?」
「ここからは外してくれると、とっても嬉しい」
 にっこりと笑いながら言われ、イヴは微かに眉を寄せた。
 アヴェルの言わんとする所は、わからなくもない。魔導師というのは、自ら
の技術を秘匿したがるものなのだから。だが、イヴとしては巫女の霊と直接対
話し、状況を理解して欲しいという気持ちが強く、そのためにも儀式には立ち
会いたかった。
「だーいじょうぶ、ご心配なく♪ 君の言いたい事、ちゃんとその巫女さんに
は伝えるから♪」
 眉を寄せる表情からイヴの不安を察したのか、アヴェルはにっこりと笑って
こんな事を言い、
「それに、女のコの説得には慣れてるし」
 最後にさらりとこう付け加えた。一応他意はないのだろうが、イヴは思わず
この一言にムッとしてしまう。
「そ〜でしょうね、あんたの場合っ! そ〜ゆ〜経験だけは豊富そうだしっ!」
「そのワリに肝心の所は全く説得できずにおりますがね〜♪」
 つい怒ったような口調で言い放つと、アヴェルはにこにことしながらこう返
してきた。
「何よ、それ?」
「言わずもがな」
「あのねぇ……」
「まぁ、冗談はさておくとして、ご心配なく。君は浜辺で待ってて」
 有無を言わせぬ笑顔で言いきられ、イヴはわかったわよ、とため息をつく。
これ以上は、何を言っても無駄としか思えないからだ。
「じゃあ、任せるから」
「はいはい、任されました〜♪」
 軽い返事に大げさなため息で返すと、イヴは剣を腰に戻してシェーリスたち
の待つ浜辺へと足を向けた。戻る途中で何気なく足を止めて振り返ると、アヴ
ェルは先ほどとは一転、真剣な表情でその場に膝をついていた。地面から放た
れる紅い光に照らされる横顔は、いつになくきりりと引き締まっている。
「……っ……」
 その表情に思わずどきりとしてしまったイヴは慌ててアヴェルから目をそら
し、足早に浜辺へと向かった。
(と、ときめき感じる必要のある相手じゃないでしょっ!? しっかりしなさい
よね!!)
 心の中で呟く事で今の衝撃を振り払おうとするものの、上がった心拍は容易
に鎮まりそうにない。イヴは小さくため息をついて空を見上げ、
「……あら?」
 違和感を覚えた。
「雨が……止んでる?」
 ついさっきまで激しく降り続いていた雨が、いつの間にか止んでいた。それ
自体に問題はないのだが、しかし。
「あの雨って確か……エナジー・ストームの影響だったのよね?」
 あの豪雨をもたらしていたのは、島の崩壊により生じた精霊の均衡の乱れと、
それに基づく力の暴走だった。そして、その力は一日や二日で鎮まるような、
そんな大人しいものではないはずだ。
「……どう言う事?」
 不安が心を過る。精霊の均衡は乱れたまま、ただ力の渦だけが失われた静寂。
それはなんとも不気味な息苦しさを感じさせた。イヴはちらり、と今後にして
きた小さな広場を振り返る。そちらからは、淡い青の光がぼんやりと射し込ん
でいた。招霊の儀式が始まったらしい。
「……簡単にできる事じゃないのは、わかるけど」
 でも急いで、と心の中で呟いて、イヴは浜辺へと急いだ。浜辺で待っていた
竜たちはみな落ち着かない。普段、物に動じる事のないシェーリスでさえ落ち
着きなく翼を動かしていた。仔竜たちは何をかいわんや、不安げに身体を丸め
ている。
 グゥゥ……
 イヴに気づいたシェーリスが低く唸りを上げる。イヴはうん、と頷いて、外
しておいた鞍を嵐竜の背に乗せた。
 何が起きるかはわからないが、しかし、確実に何かが起こる。
 そんな思いに急かされつつの作業が終わり、イヴが剣を腰につけた時、
 グワォオオオオオオオゥっ!!
 咆哮が大気を震わせた。イヴははっと頭上を振り仰ぎ、そこに薄紫の影を認
める。
「……最悪の事態を招いたようだな」
 不意に、低い声が呼びかけてきた。振り返った先には、冷たくこちらを睨む
真紅の瞳がある。カヤトだ。
「力の渦の中心に、力を求めるものを放置すればどうなるか、の典型だな。島
の崩壊により生じた力の全てを、食い尽くしたらしい」
 淡々とした解説にイヴは唇を噛む。俯くイヴに、カヤトはどうするつもりだ、
と問いかけてきた。
「あの様子では、この結界も遠からず破られる。この期に及んでまだ、『魂を
救う』などという寝言をつくつもりか?」
「……ええ」
 吐き捨てるような問いに、イヴは顔を上げて一つ頷いた。カヤトは呆れたよ
うな面持ちで眉を寄せる。
「貴様、状況を理解しているのか!? 大量の力を吸収し、暴走するだけの化け
物に、消滅以外のどんな救いが与えられると言う!?」
「状況はわかってるわよ! でも、あたしはまだ、何もしていない! 救うた
めの行動を、何も起こしていないの! だから、諦めたくない……ううん、諦
める訳には行かないの!!」
 叩きつけるように問いにイヴは毅然としてこう返す。これにカヤトが反論す
るのを遮るように、島が大きく揺れた。邪獣が雷光のブレスを放ったのだ。雷
光自体は結界によって阻まれるものの、その衝撃は根無しの浮島を激しく揺る
がす。
「下らん感情論をっ……」
「感情を……心を無くしたら、生きてる意味が無いじゃないっ!」
「生きてる……意味だと?」
「そうよっ!!」
 言いきるイヴと困惑するカヤト、双方の顔を紫の雷光が照らし出した。
「確かに、あたしは直接彼を……彼の心を、救う事はできない。でも、それを
できる者が……できるかも知れない者が、いる。あたしは、その可能性に賭け
たいの。
 彼を暴走させたのが誰かを想う心なのだとしたら、その想う相手なら、彼を
救えると思うから」
「死した者に、何ができると……」
「そんなの、やってみなきゃわからないじゃないっ! とにかく、そのために
今、沈んだ巫女を呼び出そうとしているところなのっ! だからっ……」
 だから今は時間を稼がなきゃ、と言うより僅かに早く、島が一際大きく揺れ
た。

← BACK 目次へ NEXT →