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   6 狂える魂に与えるべきは

「今のは……雷光のブレス!?」
「ちっ……奴め、まだ生きていたと言うのか!」
 駆け抜けた雷光に、イヴとカヤトがそれぞれ困惑と苛立ちを込めて吐き捨て
る。それに応えるように海面が渦巻き、薄紫の邪獣が咆哮と共に飛び出してき
た。心なしか、その身体は先ほどよりも大きくなっているように思える。
「……怨念の拾い食いで膨張したようだな、ありゃ」
 大きさの変化に戸惑うイヴの後ろで、アヴェルが呆れたように吐き捨てた。
「ど……どう言う事?」
「過程はともかく、島の崩壊やそれに伴う死は、あの島の連中にとっては理不
尽な訳だろ? と、なると、あの辺りの海には理不尽な死を納得できない奴ら
が漂ってたって事になる……」
「そして、奴はその怨念を食らい、膨張したと言う事か」
 イヴの問いにアヴェルは冷静な説明で返し、その最後の部分をカヤトが独り
言のように引き取った。
「ま、そーゆーコト。ああなると、ちょいと厄介な存在だね」
「何でそう、人事みたいに言えるのよ、もう!」
 淡白な物言いにイヴはつい苛立った声を上げる。直後にカヤトが無言で槍を
構え直したため、イヴは高度を上げてその前に回り込んだ。
「邪魔をするな」
「そうは行かないわ」
「言ったはずだ……邪獣は、ただ破壊のみを繰り返すと。野放しにはできん」
「戦って倒して、それで済むの? 現に今そうやって倒して、それでもまだ生
きてるのよ!?」
 グワルゥウウウ!!
 イヴの訴えを遮るように邪獣が咆哮し、雷光が放たれる。竜使いたちはとっ
さの旋回でその一撃を避けた。
「ならば、再生不可能なまでに叩きのめすのみだ!」
「ダメよ! 傷つければ、その痛みが怨みを生み出すわ! そうすれば、彼は
また再生してしまう!!」
「……では、どうするつもりだ! 甘い事を言っていると、貴様が死ぬぞ!!」
 苛立ちをはらんだ問いに対する、イヴの答えは簡潔だった。
「魂を救えばいい! そうすれば、怨嗟を断てるわ!」
 元々、イヴはそうするつもりだった。憎しみで閉ざしてしまった心を、何と
かして開きたいと思った。だが、そのための時間はなく、結果として人として
のブランシュを救う事はできなかった。
 だからせめて、魂を救いたい。このまま、怨嗟に捕えられたままで消滅させ
てしまうのは、あまりにも残酷だと思うから。ただ、傷を与えるだけにはした
くなかったから。
「……魂を……救う、だと?」
 そんな、切なる思いを込めた訴えは少年を困惑させたらしく、カヤトは呆然
とこんな呟きをもらしていた。イヴは大真面目にええ、と頷く。そこに再び、
邪獣が雷光による攻撃を仕掛けてきた。
「……おっと、危ないねぇ♪」
 その一撃はアヴェルが軽い言葉と共に展開した守護陣によって遮られるもの
の、正直、このままでは埒が開かない。
「イヴ、ちょっとでいいから、あいつに近づいてくれ」
 邪獣の攻撃範囲ぎりぎりまで後退し、どうしたものかと悩んでいると、突然
アヴェルがこんな事を言い出した。
「近づいてって……あんたね、気楽に言わないでよ! 大体、近づいてどうす
る気?」
「ん? ちょっと、急場凌ぎをね……このままじゃ、のんびり作戦会議もでき
ないだろ?」
 呆れたように問うと、アヴェルは例によって軽くこう返してくる。物言いは
軽いが、瞳は厳しい。その厳しさに、イヴはわかったわよ、と呟いて前に向き
直った。
「シェーリス、いいわね?」
 手綱を握り直しつつ問うと、嵐竜は静かにわかっている、と応じた。
「近づけるのって、ほんのちょっとの間だけだからね?」
「問題なし! 君の腕を信頼してますから♪」
 言いつつ、アヴェルは右手に魔力を集中する。イヴは深呼吸をすると、邪獣
との距離を一気に詰めた。当然、邪獣は雷光のブレスで攻撃してくるが、イヴ
とシェーリスは手綱を介した見事な以心伝心の動きでそれを全て回避する。
「さってと……しばらく、固まっててもらうぜ!」
 邪獣との距離が詰まると、アヴェルは右手に集中した魔力を光球に転じて投
げ付ける。光球はぱちぱちとスパークしながら拡散し、邪獣を包み込むように
絡みついた。そしてそのまま、邪獣の動きを封じ込める。
「な……何、やったのよ?」
「バインディングミストって言ってね。魔力の霧で相手を束縛する術なんだが
……まあ、あちらさんのパワーを高く見積もっても、五日前後はあのままで固
まってるかな」
 きょとん、とするイヴに、アヴェルはいつになく厳しい表情でこう説明した。
「じゃあ、五日は余裕があるって事?」
「ま、そうとも言うかな? いずれにしろ、今はここを離れないとヤバイ。ぼ
ちぼち、島の崩壊によるエナジー・ストームが発生……」
 ここで、アヴェルははっとしたように言葉を切った。イヴも周囲の大気に違
和感を感じ取る。精霊力のバランスに何か、異常なものが感じられるのだ。
「……もう、してたりして」
「じゃあ、ないでしょっ!!」
 脳天気なアヴェルのボケに突っ込みを入れつつ、イヴは高度を上げてカヤト
に近づく。カヤトはまだ、呆然としているようにも見えた。
「ちょっと! いつまでもここにいると、力の暴走に巻き込まれるわよ!」
「……あ、ああ……」
「って言うか、もうそのど真ん中にいたりするんだよなぁ……って訳で、と」
 軽く言いつつ、アヴェルは左の掌の上に右手をかざすようにして、その間に
魔力を発生させた。発生した魔力球はふわりと広がって、二頭の竜とその乗り
手たちをくるりと包み込む。
「取りあえず、ここは逃げの一手と行こうと思うんだけど、いっかな?」
「そもそも、選択の余地がないでしょおっ!?」
 お気楽な問いに、イヴは大声を上げて答える。この反応に、アヴェルは確か
に、と苦笑した。
「まぁ、そうとも言うよね。んじゃ」
 どこまでも軽い口調の言葉の直後に、魔力球の表面が大きく震えた。一拍間
を置いて魔力球が弾け飛び、虹色の光の粒子が周囲に飛び散る。光の粒子が消
えると、周囲にはここ数日ですっかり見慣れた島の景色が広がっていた。
「いやあ、危ない危ない、もうちょっとのんびりしてたら、エナジーストーム
に捕まるとこだったぜ」
「だから、どうしてそうお気楽に言えるのよ、あんたは……」
 ごく軽い口調でかなりヤバい事を言うアヴェルに呆れきったため息をつくと、
イヴはカヤトの方を振り返った。カヤトは真紅の瞳で睨むようにこちらを見て
いたが、イヴと目が合うと心持ち視線をずらして、どうするつもりだ、と問い
掛けてきた。
「どうする……って?」
「決まっている。邪獣の事だ。一体、どうするつもりだ?」
 問われた意味を掴みあぐねて問い返すと、カヤトは苛立たしげにこう返して
きた。この問いに、イヴは表情を引き締める。
「さっきも言ったけど、このまま傷つけ続けても、何の解決にもならないわ。
彼の、心……魂そのものを救わない限り、邪獣は何度でも復活すると思うの。
だから……」
「だから、魂を救済する……と? はっ、キレイ事を! それが簡単にできる
ようなら、邪獣など生まれはしない!」
「それはそうかも知れないけど! でも、そうするしかないじゃないの!!」
 吐き捨てるような物言いに、イヴはムキになって反論する。
「ふん……では、具体的にどうすると言うんだ? どうやって、奴の魂を救う
と言うんだ、貴様はっ!?」
 イヴの反論に、カヤトは槍の先と共にこんな問いを突きつけてきた。こちら
を見つめる真紅の瞳に鋭さとそこに宿る苛立ちに、イヴは言葉を詰まらせる。
「……あ〜、まあまあ、そんなにカッカとしなさんなって」
 張り詰めた場の緊張は、ごく軽い言葉によってぶつん、と切れた。イヴは拍
子抜けしつつアヴェルを振り返り、カヤトも毒気を抜かれた面持ちで魔導師を
見る。
「ま、なんだね、救うにしろ消すにしろ、とにかく今は無理なんだから、そん
なにカッカしても仕方ないって♪」
「……お気楽だな、貴様は。それとも、『力』故の余裕か?」
 呆れたような問いかけに、アヴェルは微かに眉をひそめたようだった。
「ま、その辺は勝手に想像してくれていいけどね。とにかく、どうせニ、三日
はオレたちもエナジーストームの影響で動けないんだしさ、カリカリしてても
意味、ないって」
 ほんの一瞬間を空けて、アヴェルは軽くこんな事を言う。カヤトは不満げに
眉を寄せつつアヴェルを見ていたが、やがて不機嫌そうに鼻を鳴らして槍を下
げた。
「……まあ、いい。貴様らがどうしようと、オレの知った事ではないからな。
オレは、オレのやり方を通すだけだ」
「そりゃ〜確かに真理だが、この島からは出られんぜ」
 吐き捨てるように言うカヤトに、アヴェルはどこまでも軽い口調のままでこ
んな事を言う。思いも寄らない言葉に、二人のやり取りに口を挟めずにいたイ
ヴはえ? と言いつつまばたいた。
「どういう事よ?」
「エナジーストームの影響を避けるために、この島全体を結界で覆ったんだ。
だから……ほら、上」
「上って……あ!?」
 言葉に釣られて上を見たイヴは、無空間に跳ね飛ぶ飛沫に息を飲む。いつの
間にか激しさを増していた雨が見えない壁に遮られ、弾け飛んでいるのだ。
「『巫竜の結界』ほどじゃないが、それなりの強度がある。ま、外側からの干
渉を避けるために作りを極端にしてあるから、オレが解かない限り外にも出ら
れないんだけどね」
 ぽかん、とするイヴにアヴェルは妙に楽しそうにこう説明する。カヤトは仏
頂面でそれを聞いていたが、やがて無言のまま、槍を鞍に戻した。魔竜が身体
を大きく震わせ、翼を広げる。
「ちょっと、どこ行くのよ?」
「島から出られんからと言って、貴様らと馴れ合う義理はない」
 イヴの問いに素っ気なく答えると、カヤトは魔竜を舞い上がらせた。
 きゅうううっ……
 不意に、シャイレルが甲高い声を上げた。突然の事に、カヤトを含めた全員
が小さな影竜に注目する。当の影竜は、魔竜使いの真紅の瞳を訴えかけるよう
な目で見つめていた。カヤトはしばしその瞳を見返し、それから、首を軽く左
右に振ってシャイレルから目をそらした。
「……行くぞ、ヴェルパード」
 短い言葉に魔竜は咆哮で応え、漆黒の竜は急上昇の後、高速で飛び去ってし
まう。その態度にイヴはきょとん、と瞬いた。
「な……何よ? 一体何なの?」
「ま、予想通り……かな」
 訳がわからずこんな呟きをもらすと、アヴェルがこんな事を呟いた。
「予想通りって、何がよ?」
「あれ、予測できてなかった? あいつとチビ竜の接点……考えられる可能性
って、何かなかったっけ?」
 戸惑いながらの問いに、アヴェルは逆にこう問いかけてくる。イヴは思案を
巡らせ、一つの可能性にたどり着いた。
「考えられる可能性って……まさか、『守人』!? 闇の祖竜の聖域の!?」
「そ、そのまさか。あいつ、自分で名乗ってくれたよ。カヤト・リオルド……
まず間違いなく、『聖域の守人』の一族だ」
 息を飲むイヴに、アヴェルは真面目な面持ちで頷いた。イヴはシェーリスか
ら飛び降り、カヤトが飛び去った方を見る。
「リオルド一族……闇の祖竜の聖域を守る、『聖域の守人』……」
 祖竜の聖域には、必ずそこを守る『聖域の守人』と呼ばれる一族がいる。彼
らによって聖域は守られ、祖竜の眠りは妨げられる事はない。
 地のグラース、水のアクロス、火のフレアリス、そして風のリュースに、光
のシャルティドと、闇のリオルド。竜使いという概念が生まれる以前から竜と
いう存在を知り、その無垢さを知っていた者たち。イヴの先祖であり、竜使い
の開祖とされる竜の巫女ルディもまた『守人』の一族として生まれ、それ故に
人と竜の絆を深める、という事に自然に思い至ったという。
「でも……だとしたら、どうして? どうして、『聖域の守人』が彷徨い人な
んかやってるのよ?」
 アヴェルの方を振り返りながら問う。問いかけたところで、アヴェルにわか
るはずもないのだが、他に問える相手はいなかった。
(『守人』が聖域を捨てるなんて……よっぽどの事じゃないの……)
 こんな事を考えつつ、イヴは軽く唇を噛む。イヴ自身も風の聖域を守る『聖
域の守人』の一族だが、風の祖竜自身が彼女が世界を見る事を望み、送り出し
た事もあって彷徨い人となった。もっとも理由はそれだけではなく、島の人々
との間の確執も原因と言えるのだが、いずれにしてもこれは例外中の例外と言
えるだろう。
 俯くイヴの様子にアヴェルはやや眉をひそめるもののそちらは追求せず、さ
あ? と軽く言いながら肩をすくめてシェーリスから飛び降りてきた。
「それは何とも言えないが、でも、仮説は立つんじゃない?」
「……例えば、どんな?」
「そうだな……聖域が、聖域じゃなくなった……とか」
「……え?」
 アヴェルの言葉にイヴはきょとん、と目を見張る。
「聖域が聖域でなくなったって……ど、どう言う事よ!?」
「まぁまぁ、落ち着いて落ち着いて……結局さ、聖域ってのは、祖竜がいるか
らこその聖域なんだろ?」
 上擦った声を上げるイヴの肩をぽんぽん、と叩きつつ、アヴェルはこんな問
いを投げかけてくる。
「まぁ……そうなるわね」
「でも、闇の祖竜はこの五百年間、イシュファの神殿島で眠っていた……つま
り、聖域は五百年間、留守の状態だったって事になる……勿論、今も。
 主無きその空間は、果たして聖域として成立すると言えるのかな?」
「それは、そうだけど……でも、だからって!」
「まあ、他にも何かしら理由はあるんだろうけど、オレたちがここでそれを論
じてても、答えは出ないよ」
 アヴェルの理屈は理解できるものの、やはり釈然としないイヴはつい大声を
上げてしまう。そんなイヴに苦笑しつつ、アヴェルは静かに正論で返してきた。
確かに、イヴたちがここで論じていても答えなど出ない。この疑問の答えは、
カヤトにしか出せないものなのだ。
「ま、そんな訳だから憶測はホドホドにしといて、取りあえずは一休みしよう。
どうするにしても現状じゃどうにもならないし、それに……」
 何となく俯いているとアヴェルはまたぽんぽん、と肩を叩きながらこんな事
を言い、最後の部分を意味ありげに濁した。
「それに……何よ?」
「この調子で天気が荒れると、まぁた落雷があるかも知れないしね。早目に休
んだ方がいいんじゃないかな〜♪」
「あ……あんたねぇっ!」
 あえて考えずにいたその可能性を軽く言われ、イヴは思わず大声を上げてい
た。直後に、白い閃光が周囲を照らしだし、轟音が響く。言ってる側からと言
うか何と言うか、荒れ始めた天気が雷雲を呼び寄せていたのだ。イヴは反射的
に耳を塞いで目を閉じる。
「……いいタイミングだねぇ……」
「良くないっ!!」
 妙に楽しげなアヴェルの言葉に、イヴは精一杯の大声でこう返していた。ア
ヴェルははいはい、と笑いつつ、すくんでしまったイヴをそっと抱き寄せる。
そうされると落ち着いてしまうのが妙に悔しくもあるが、落雷への精神的な恐
怖には変えられない……そんな風に自分を納得させつつ、イヴは力を抜いてア
ヴェルの胸に頬を寄せた。アヴェルはイヴを支えつつ、近くの木の根元に腰を
下ろしてその幹に寄りかかる。仔竜たちは既に、頼れる嵐竜の翼の下に潜り込
んで身を寄せ合っていた。
 落雷は続き、嵐はその激しさを増している。島という大きな存在が消滅した
事で、周辺の力の均衡が激しく乱れているのだ。だが、その凄まじい力の暴走
は穏やかに煌めく結界に遮られ、島の中には何ら影響を及ぼしはしない。
 それだけの物をほんの僅かな時間に張り巡らせてしまったのだから、アヴェ
ルの力量は計り知れない。魔導師として、その力は世界屈指と言えるのではな
かろうか。
(もしかしたら……招霊術も使えるかな……)
 ふと、こんな考えがイヴの脳裏を掠める。もし、アヴェルがそれを行えるな
ら――いや、できないと考える方が難しいのだが、とにかくそれならば状況を
打破する事ができるかも知れない。怨嗟に囚われたブランシュを、救えるかも
知れない。
 そんな事を考えつつ、イヴは顔を上げてねぇ、と呼びかけた。アヴェルはイ
ヴの髪を撫でつつ、なに? と問いかけてくる。
「あ、えっと……やっぱり、後でいい」
 尋ねようとした言葉は、何故か途中で詰まった。何となく、今は現実的な事
は考えたくないような、そんな気持ちになっていたのだ。
「後でって……まあ、いいけど」
 そんなイヴの気持ちに気づいたのかどうかは定かではないが、アヴェルは苦
笑しつつこんな呟きをもらし、それから、何の前触れもなく唇に触れてきた。
「なっ……もう、いきなり何するわけっ!?」
 突然の口付けに、イヴは頬を赤らめつつ抗議するが、
「え? あ、いや……なんか可愛かったから、つい♪」
 アヴェルは軽い口調でそれを受け流した。
「つ、ついってねぇ!」
「まぁまぁ、別にこれが初めてって訳でもないしさ」
「……問題が違うでしょおっ!!」
 大声で抗議するイヴに対し、アヴェルはどこまでも余裕の体を崩さず、ごめ
んごめん、と笑うだけだった。イヴはもう、と言いつつそっぽを向く。
「もうっ……あんたのそういうとこが、あたし、大っ嫌いなんだからねっ」
「と、言いつつオレにしっかりとしがみついてる君が、オレは大好きです♪」
「……ばか」
 楽しげな言葉に対し、言えたのはこれだけだった。イヴはアヴェルの胸に顔
を埋める形で顔を隠す。上気したままの頬を見られるのが、妙に悔しかったか
らだ。アヴェルは楽しげに笑いつつ、そっと抱きしめてくる。包み込むような
温もりは今日一日の目まぐるしい出来事と、それから受けた衝撃を少しずつ、
柔らげてくれるような心地がした。
 その温もりに安堵しつつ、イヴはゆっくりと眠りに落ちていった。

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