蒼花狂夢──呪花、散りて 願うのは、ただ。 解放と休息。 病魔の苦しみ、聖痕の痛み。 縛り付ける、全てから。 解き放ってくれと。 今はただ、それだけを……。 「それなら。 ……殺してくれる、か?」 殺させたくない、と言われて。 ならば、と思って、投げた、問い。 それは、ずっと抱えていた願い。 蒼が、目を覚ましてから。 また、繰り返されるのかと感じてから。 対である朱が散る感触を、また、味わってから。 全て崩れて行くなら、何も残らないなら。 病魔と連れ添って生きるのは、もう、嫌だったから。 ……問いへの、答えは。 予想外の行動で返されて。 それでも、否定も拒絶もなかったから。 ……安心、していた。 冷静に考えたなら相当に異常。けれど、それは、今は自然。 そもそも、全てが狂っているような状況で。異常とか、自然とか……考えて も、仕方ないと。 ふと、そんな事を考えながら。 痛みを与え続ける、蒼。 祝福と称される、呪い。 与えられる痛みに重なる違う痛みに、身体が震えた。 解放される、望みが叶う。 それを示す痛みを堪えるのは――苦でも、なかった。 痛みを重ねられすぎて、痛覚がイカれたかな、なんて。 ふと、そんな事を考え、そして。 あおが、きえた。 解放。 望み。 叶えられた安堵。 『ありがとな』 そう、言ったつもり、だった。 けれど、言葉にはならなくて。 ……ああ、まったく。 人が、珍しく素直に感謝してるのに。 なんで、謝るんだ、この馬鹿は。 自分の血の味を感じながら考えたのはそんな事。 痛みは今はなくて、ただ、熱くて。 ああ、生きてるんだな、と。 命の終わりが――死が、近いこの瞬間に。 初めて、それを、実感した気がした。 『なくな、ばかやろ』 告げられた、別れのことばに。 いつもの調子で返そうとしたけれど、声にならなくて。 それでも。 精一杯、笑って、みせた。 これは自分の望みの果ての事だから。 だから、自然に、笑えていた。 望み……望み? ああ。 そうか。 だから、あの時。 ルーツィアは……笑って……。 そして。 すべてのいろが、おとが。 周囲から、消えた。 |
