村関連SS置き場/蒼天輪舞/北の隠者
Last-modified: 2011-04-20 (水) 22:07:37
「北の隠者」 作:Meyさん
北の隠者 ディルドレ
― 北の庵 ―
[手にした鳩がくるくると鳴く。
一通り静かに聞いていた隠者は、唇を月の形に作った]
――Röstinspelning.
[鳩の眸が金色に光る。
隠者が連絡手段に良く使うこの鳩は、声を覚えて先方に伝えることが出来る。
今先刻もナハティガルより戻ってきて伝えたばかりだった]
そのような騒ぎがあったか。
まあ、良い経験となっただろう。お前にも。
戻るかどうかは、ラヴィ、お前の自由だ。
時限を区切ったのも私ではない。
今はまだ北に戻るも南に行くも、好きに選ぶがいい。
戻らねばならない時もあるのはお前も爆炎の弟子も知っていよう。
そういうことだ。
そういえば。お前には余り話したことはなかったかね。
嵐激…キリクの坊主が準優勝とは。
まだ其処に居るなら、祝いを述べていたと伝えておくれ。
そろそろ「来る時期」だから無理にではなくて良い。
ではな。
[隠者が言葉を切り手を振ると、鳩の眸は元の色に戻る。
差し出された果実を啄み、暫し羽を休ませた後には再び空に舞い上がった]
……ククッ。
[見送った隠者は可笑しそうな笑い声を零した。
そうと聞いた弟子がどんな反応をし、間に合ったならどんな伝え方をするのか。
想像するだけでもなかなかに愉しい。
静寂に包まれた庵の中、時にはこんな娯楽があっても良かろうと**]