村関連SS置き場/蒼天輪舞/─大会終了後・医務室─ 2

Last-modified: 2011-04-23 (土) 13:19:46

風精 ドロシー

―査問後のいつか―

[査問がおわるまでは、精霊といえども病室に入ることはかなわなかったようだ。
何せ片方が精霊師なのだから、その警戒も仕方ない。
入り込もうとして結界にはじかれて、むぅっとしていたドロシーだったが、持ち前の忘れっぽさのおかけで、あっちこっちふよふよしていた。
たぶんラブラブな邪魔はしなかった、はず。

エディは退院したし、心配だけどリヒャルトにもルートヴィヒにも会えないからとのんびり遊んでいたら、いつのまにか壁がなくなっていたようだ。
ちょっと怖いだの思っていたはずが、そうと気付いた瞬間に嬉々として入り込む。
中の様子の確認なんて、知ったことじゃなかった。他に誰がいるかの確認すらしない。
人の姿に変わるのは、その部屋の中でである、もちろん。]

リヒャルト!ルートヴィヒ!
おはよう!……う?

[ぱちくり。
目をまるくしたのは、リヒャルトの体を見たから。
あるはずの手がない。
もう一度確認するように腕をじっと見て。]

……。
…………っ。

 うわぁぁぁぁぁぁぁんっ!!

[ひどい大泣きだった。
ぼろぼろと涙は止まらないから、しゃがんで腕で目をおさえて。
ひっくひっくとしゃくりあげる。泣きやむ様子は、ない。]


精霊師 リヒャルト

― 査問の後・いつか ―

[査問が終わった後も、しばらくは医務室の個室に監禁されていた。
ローデンライヒの体調が、まだ動かせるほど回復していなかったからでもある。
当然のごとく、青年もまた転院を拒んで、主の側に居続けた。

日に一度はやってくる治療師達の診察を受け、
じっとして治癒魔術を受けているときに、ふと、風が吹き込んでくるのに気が付く。
同様に気付いた治療師が睨みつけてくるが、涼しい顔で笑ってベッドから降りた。]

 やあ、ドロシー。おはよう。
 ちゃんと元気にしてたみた…い―――?

[気安い挨拶は、途中で途切れる。
目をまんまるにした風精が、自分の両腕があった辺りをじっと見ているのに気付いて、
浮かべた苦笑は、すぐに慌てた表情に変わった。]

 な…、ドロシー、そんな――…えーと…

[しゃがみ込んで大声で泣くドロシーの前で、同じようにしゃがんで、おろおろと狼狽える。
精霊の扱いは知っていても、泣く子供のなだめ方なんて知らない。]

 ああ…、そんなに泣かないで。ね。
 ドロシーが泣くこと無いんだって。だから、ほら、…。

[腕を上げて触れようとして、ためらって、
困り果てた顔で、ドロシーが泣いているのを見ていた。]


風精 ドロシー

― 査問の後・いつか ―

[簡単に泣き止むといったことはなく、顔もあげずにひっくひっくとしゃくりあげて目を擦
る。
近い距離で泣かないでなんていわれても、ふるふると顔も上げずに頭を振って。
困られているとかそんなことは、泣いている子供には関係ない。

そんな中でも、空気の僅かな動きもわかるのは、風の精霊としては当然のこと。
すぐに顔を上げなかったのは、どうしても涙が止まらなかったからで。
くすんくすんと鼻を鳴らした後に、目を強くこすって、顔を上げた。
目の周りは擦ったせいで、赤い。
一度は止めたはずの涙が、顔を見るとすぐにまたぼろぼろ落ちていく。]

う〜〜…
やぁだぁぁぁ〜…!

[それでも今度は視線を落とさずに。
服の袖で目元をごしごし拭って、それ以上落ちていく涙なんて気にする余裕もないようだった。
先を失った、上がっている腕へと泣いている目は移動して、小さな片手はただ触れる為だけにそこへと伸びる。

くちびるが震えて、声は詰まりながらも続く。]

いたい、もん…!
リヒャルトの、ばかぁっ!


精霊師 リヒャルト

― 査問の後・いつか ―

[結局、なだめる言葉も大して掛けられないまま、
ドロシーの大泣きが少し落ち着くまで、眉を下げて眺めていた。
ようやく泣き止んで顔を上げたドロシーの、赤く泣きはらした目にたじろぎ、
その大きな目から、またも透明な流れが溢れ出すのに、泡を食う。]

 あ…え、と、――もう…。

[意味のない声を零して、困り顔で笑っていたら、小さな手が腕に触れた。
涙で震える声でなじられて、目を瞬き、肩を落とす。]

 痛くないよ。
 ………その、…ごめん。

[小さな嘘。
とっさに出たそれにか、泣いてくれるドロシーの心に対してか、
ちくりと胸が痛んで、謝罪の言葉を口にしていた。

そうして、突き動かされるようにドロシーに近寄り、
小さな体を抱きしめようと、両腕を上げる。]

 ごめん……
 僕なんかのために泣かなくて良いんだよ。
 だから…うん、ごめん…。


風精 ドロシー

― 査問の後・いつか ―

いたいもんっ…!

[痛くないなんて言われたって、幼子が信じるわけもなく。
もちろん泣き止むわけもなく。
続く謝罪に、ふるふると首を横に振るばかり。
触れた腕の先はなんにもなくて、しゃくりあげてそれ以上言葉は続かなかった。

抱きしめられるのに、否などあるはずもない。
ぎゅうっと、自分からも抱きついてしまう。]

っ、ないのっ!
リヒャルト、なんかじゃない…もん!

[必死にそれだけは否定して。
ぎゅうぎゅうと自分は必死で抱きしめる。
リヒャルトの服が濡れてしまうだとかそんなことを考えることは出来なかったし、ぎゅうぎゅうと背にまわした腕の力も、しがみつくように一生懸命だった。

ぎゅうっとすれば落ち着くらしく、しばらくすれば涙も止まろう。
抱きしめる手の力もちょっとは緩んだりはするけれど、離したりはしなかった。]


澪氷の騎竜師 ルートヴィヒ(ローデンライヒ)

─査問の後・いつか─

[回復の遅い身体は休息を欲し、自然眠る時間が多くなる。
治療もほとんどが眠っている間に行われ、起きている時のしっかりとした診察はジークムントが居る時くらいのものだった。
そんな眠りから覚めたのは、誰かが大声で泣くのが聞こえたため]

───……。

[最初は何が起きていたのか分からなかった。
声に聞き覚えが無いわけでは無いけれど、目覚めて直ぐの頭では誰なのかの判別も遅く。
ベッドに横になったままぼんやりとした様子で首を巡らしリヒャルトの方へと向けて、ようやく誰が居るのかに気付くことが出来た]

……ドロシー?
リォ……リヒャルト、どう、したのですか。

[声をかけるに至れたのは、ドロシーがリヒャルトを抱きしめた後。
完全な覚醒がされていないまま、薄紫眼をゆっくりと瞬かせた]


精霊師 リヒャルト

― 査問の後・いつか ―

[ぎゅうぎゅうと、しがみつくように抱きしめる細い腕が
なんだかとても愛おしくて切なくて、小さな肩を挟むように抱く。
背中を撫でることは出来なかったけれども、
代わりに、ふわふわの髪に顔を埋めた。]

 ……ありがとう。

[そんな風に言ってくれるのは、君で3人目だ。人ではないけれど。
――なんて、余計なことは胸にしまって、
泣き止むまではこうしていよう、と腕にすこし力を込める。
服の胸を濡らす涙さえ、今は嬉しかった。]
 
 あ、ローデンライヒ様。
 起こしてしまいましたか。

[名を呼ぶ声に、ぱっと顔を上げて、気恥ずかしさに視線をほんの少し外す。]

 その…ドロシーが急に来て、泣かれてしまって…。

[いろいろを省いて説明し、嬉しいような困ったような顔のまま、笑う]

 じきに落ち着くと思います。…すみません。

[起こしたのは自分じゃないけれども、原因は自分にあるわけで、
やっぱり困った顔で謝った。]


風精 ドロシー

― 査問の後・いつか ―

[ぎゅう、ぎゅう。
しっかり抱きついて。抱きしめてもらって。
聞こえたお礼の理由なんてわからなかったから、頭を押し付けたままにちいさく横に振った。
頭上の感触を落とさない程度に。]

う〜…

[ちいさくぐずった声をあげて、やっぱりぎゅう。
ローデンライヒの声はもちろん届くわけだけれど、今はまだ泣きやめずに抱きしめたまま。
ただ頭の上に当たっていた顔がなくなったから、ほんのすこし上を見た。
声を聞きながら、涙はだいぶ収まった様子。]

……リヒャルトが悪いんだもん。

[泣いた理由はそのせいだと、小さな声で文句言って。
それからまたしっかと腕に力をこめた。]

ぼっちゃんも、ぜったい、そう言うもんっ!

[本人の前では言わないという約束は、きれいさっぱり今は忘れてしまっていた。
リヒャルトが呼ぶ名前がなんだか違うことにも気付いてはいたから、というのもあっただろうけれど。]


澪氷の騎竜師 ルートヴィヒ(ローデンライヒ)

─査問の後 いつか─

[ゆるりと薄紫眼を瞬くこと幾度目か。
困った顔で謝るリヒャルトと、リヒャルトが悪いと言うドロシーの言葉を聞いて苦い笑みを浮かべた]

───……ああ、腕、のこと、ですか。
それは、私の怪我を治すためにしたことですから。
誰が悪いのかと言うのなら、私でしょう…。

[両腕で身体を支えながら上半身を起こす。
壁に背を預けて一息つき、下半身にかけるブランケットの上で両手を重ねた。
そうしながらドロシーの言葉を聞いて、少し驚くように薄紫眼を丸くする]

………エーヴァルト、ですね?
その呼び方を教えたのは。
全く……いい加減止めなさいと言っていますのに。

[ぼっちゃんと呼ぶのは彼以外に居ない。
そう言いながら吐いた息は溜息のようだった]


精霊師 リヒャルト

― 査問の後・いつか ―

 いえ、ローデンライヒ様は悪くありません
 僕がしたくてしたことですから、やっぱり僕が悪いんです。

[ようやく泣き止んできたらしい幼精を腕に抱いて、
聞こえてきた言葉には、即座に否定を返す。
それから、ぽふりとドロシーの頭に顎を乗せた。]

 ドロシー。あの方の本当のお名前は、ローデンライヒ様っていうんだよ。
 だから、ちゃんと名前でお呼びしてあげて。

[ため息を零す主の声に、密かに頬を緩めながら、
改めてドロシーに新たな名前を告げた。]


風精 ドロシー

― 査問の後・いつか ―

[腕のこと、というのには、リヒャルトをぎゅうっとしたままにちょっと頷く。]

それだけじゃ、ないもん。
リヒャルトなんか、じゃないもんっ。

[自分が悪いというローデンライヒに、ぷぅっと頬を膨らませながらそんな事を言う。
それから自分が悪いとやっぱり言うリヒャルトへ抱きつく腕の力はちょっと強くなった。ぎゅう。]

痛いの、や!

……ぼっちゃん、や?
ろーでんらいひさま。
ローデンライヒ?
うんっ!

[一度はさままで入ったのはご愛嬌。
泣いた子供は、頭を乗っけられているのが嫌ではない様子。
それでもぎゅうぎゅう、とした後で、腕を外して。
そろそろと、指を、腕が落とされてしまったあたりへと動かした。
うー、と小さくうなったあとで。]

…いたいの、いたいの、とんでいけー?

[前に見たことのある、人間の情景を真似してみた。]


精霊師 リヒャルト

― 査問の後・いつか ―

[主に向かって、頬を膨らませているらしき風精の言葉に、ますます頬が緩み、
しがみつく力が強くなれば、ぽんぽんと肩の辺りを優しく叩く。]

 そう、ローデンライヒ様。
 あ、ううん。様は名前じゃないから。
 そうそう。

[自分では敬称を外して呼ぶ気はさらさらなく、ドロシーが正しく呼べたら、うんうんと頷く。
ぎゅうぎゅうしていた幼精の腕が離れれば、乗っけていた顔を上げて、首を傾げた。]

 あ―――

[小さな唇から紡がれる、他愛もないおまじない。
でも、言霊の力を、精霊師はよく知っていた。]

 ありがとう、ドロシー。
 もう痛くないよ。痛いの、飛んでっちゃったよ。
 ……ありがとう。

[心からの笑みを浮かべ、昔、誰かにそうしてもらったように、ドロシーの頬にキスをして、
それから、その小さな体をもう一度、ぎゅうと抱きしめた。]


澪氷の騎竜師 ルートヴィヒ(ローデンライヒ)

─査問の後 いつか─

[リヒャルトの即否定の言葉に苦笑いが浮かんだ。
これ以上食い下がっても平行線を辿るだけであるため、それ以上は言わず。
先のリヒャルトとドロシーのやり取りは聞いていなかったから、ドロシーが繰り返し主張することが何なのか理解出来なくて、軽く首を傾いだ。
しかしそれに対して口を出すことはせず、紡がれる自分の本当の名前に表情を和らげ薄紫眼を細める]

ぼっちゃんと呼ぶのは、エーヴァルトだけで十分です。
それに、それは幼い頃の呼ばれ方ですしね…。

[細めた薄紫眼は瞼に隠れ、かつてを思い起こす。
ぼっちゃんと呼ばれ始めたのはエーヴァルトと出会ってしばらくしてからのこと。
当時は気にしなかったし、ルートヴィヒと呼ばれずに済んでいたため気楽に居られたのだけれど。
今となっては気恥ずかしさが先行していた]

……良い子ですね───。

[それは薄紫眼を開いた後にドロシーを見ての呟き。
リヒャルトを想い泣いて、労わる。
人間の中でも出来ぬ者、やらぬ者が多い中で風精がそれを行っているのを見て、口許が綻んでいた]


風精 ドロシー

― 査問の後・いつか ―

[ローデンライヒが分かってくれない様子に、やっぱりぷーとちょっとまた膨れっ面。
とはいってもぎゅうっとしているのだから見えはしないが。
何にせよ泣いた烏はすぐ笑う。]

ローデンライヒ、覚えた!
ぼっちゃん、かわいいのにー。

[呼び方にはちょっと文句を言ったけれど、ちゃんと名前で呼ぶよと、うんうん、頷く。

子供だましのおまじない。
ただ、それをされている子がすぐ笑ったから、なんとなく覚えていたもので。
なにか違ったかな、ちょっと心配そうにリヒャルトを見上げた。]

う?
とんでった?
良かった!

[頬へのキスは、嬉しそうに目をきゅっと瞑って受けて。
自分もやっぱり抱きついた。
それから、ローデンライヒの方にちょっと顔を動かす。]

ローデンライヒも、
いたいのいたいのとんでいけー!

[にこにこしながら言った。
良い子とか聞いてもっと嬉しそうに、でもちょっとはずかしそうになって、ぎゅうっとリヒャルトにまた強く抱きついた。
――そうしていればちょっと思い出したことが一つ。]

あ。あのね、エーヴァルト、角なかったの。

[ちょっと伺うように、見上げたりして。
どうして?なんて不思議そうな顔をしたのだった**]


精霊師 リヒャルト

― 査問の後・いつか ―

[ぎゅっと抱きついてくるドロシーを、抱きしめ返す。
その間に、ローデンライヒの呟きが聞こえてきて、自分のことのように嬉しげに笑った。]

 ね。良い子ですよね。

[主へ向けてもおまじないを唱えるドロシーに笑みをむけ、
もう一度抱きついてくれば、その背中をぽんぽんと叩く。
見上げて問われた言葉には、すこし目を瞬いた。]

 エーヴァルトさんに……ぁ。

[ほんの戯れに言ったことを思い出し、思わず軽く噴き出す。]

 あ、ああ。そうだった?おかしいなぁ。
 僕と話している時は、よく角が出るんだけどね。

[くすくすと笑いながら、やっぱりそんな風に言うのだった。]


澪氷の騎竜師 ルートヴィヒ(ローデンライヒ)

─査問の後 いつか─

ぼっちゃんは、幼い子に言ってあげて下さい。
私はもう、そんな歳じゃありませんから。

[尚も文句を言うドロシーにクスクスと笑い声を零す。
おまじないを自分にも向けられると、それを受け入れるかのように薄紫眼を閉じて微笑んだ]

───ありがとうございます。

[ベッドから降りられないために感謝の言葉だけをドロシーへと向け。
撫でたり抱きしめたりするのはリヒャルトへと任せる。
呟きに言葉を返してくる様子には、微笑んで頷きを返した。
エーヴァルトに角がなかった、と言う言葉が聞こえると、薄紫眼を開いて一度瞬く]

ああ───……彼は出す時と出さない時があるんですよ。
ドロシーに対してですと、出さないかも知れませんね。

[リヒャルトの言葉もあってどう言う意味かを理解し。
おかしそうに笑いを零しながら言葉を紡いだ]


風精 ドロシー

― 査問の後・いつか ―

[幼い子にと聞けばちょっと悩む顔をして。
それでもこっくり頷いた。]

わかった!
……でもエーヴァルト、ぼっちゃん言ったよ?

[言うななんていう口止めは、泣いたせいかぽんとどっかにいってしまっているよう。
後で思い出したら、ショックを受けるのは間違いない。いっちゃった、的な。

お礼にはふるふると首を横に振って、それでも笑顔を一度向けて。
それからリヒャルトにぎゅう、ぎゅう。
ぽんぽんとされるのも好きなようで、なつきまくっているが、エーヴァルトについての言葉にちょっと震えた。
だって二人が言うのだから。笑いながらだけどいうのだからきっとほんとうなのだ、と。]

ぼくには出さないなら、ぼく、食べられない? 鬼とちがう?
リヒャルトも、ローデンライヒも、食べられちゃめー、よ!

[鬼とかラヴィに聞いた言葉が出たけど、駄目、っていう言葉はものすごく心が篭っていた。]


精霊師 リヒャルト

― 査問の後・いつか ―

[エーヴァルトが主のことを相変わらず、ぼっちゃんと呼んでいるらしいと
ドロシーの言葉から察し、目を瞬いた後に、くすりと笑う。

ぎゅうぎゅうとくっついて離れない風精を撫でたり抱きしめたり、
小動物的な温かさを堪能しながら、ほんのり怯えた様子には笑み零れた。]

 大丈夫。ドロシーは食べられないよ。
 鬼……といわれれば鬼かも、だけど、平気平気。
 僕もローデンライヒ様も食べられたりしないから大丈夫。
 ちゃんと、ドロシーが、めー!って言ってくれたからね。

[当人が聞いたらどうなるか、なんて言葉をぽんぽんと言って、
ローデンライヒに目配せをしつつ、やっぱり楽しそうに笑った。]


澪氷の騎竜師 ルートヴィヒ(ローデンライヒ)

─査問の後 いつか─

……あの人は言っても直しませんから。

[紡ぎながら吐いた息は溜息。
成人した後も何度も訂正を頼んだが、エーヴァルトが言い直す様子は無かった。
ドロシーにそう返しながら、リヒャルトとのやり取りを眺めて。
角の話には尚もクスクスと小さく笑いを零していた]

ええ、ドロシーは大丈夫ですよ。
私達も、食べられはしません。

まぁ……雷は落とされるかも知れませんが。

[もう一つ余計なことを追加してみる。
リヒャルトと視線が合うと更に楽しげに笑って。
身体が眠りを欲するまでは、その楽しげな空間をしばし*楽しんだ*]


風精 ドロシー

― 査問の後・いつか ―

ぼっちゃん、かわいいもの!

[呼び方はお気に入りだった。
きっとエーヴァルトもそんな気持ち!と思っているのかもしれない。
恐らく、可愛いの種類がまた別だが。]

食べられない?
食べられない?

[一度目は自分を指差して。
二度目は二人を見詰めて。
それから、ほっとしたように笑ったのに……]

かみなり!
エーヴァルト、雷落とすの!?

[がーん。
ふるふる震えつつ、やっぱりリヒャルトにぎゅうっとしがみつくのだった。
ローデンライヒが眠ってしまったら、とことこ近寄りつつ、もいちど痛いの痛いのとんでいけーをお見舞いしたりはしただろう。
いっぱいお話できて満足な風精は、なんだかんだでまたの約束もちゃんとするに違いない**]