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 ・秋斗(しゅうと)

 驚異的な破壊能力をその身に宿したクリーチャーの少年。十七歳。鮮やかな
蒼い髪と瞳、そして自らの力によって作り出す蒼い刃から『蒼刃の破壊者』の
通称を持つ。
 クリーチャーでありながら、新生児の時点で人口子宮の外に出されて育てら
れるなど、色々と謎の多い少年。そも、どこの設備で誕生したのか、両親は誰
なのかなど、基本的な事に関する情報が全くないに等しい。唯一それを知って
いたのは彼を育てたレーテであり、彼女亡き今、それを知るのはその知識を引
き継いだ蝉のみと思われる。
 突っ走り易い直情型。ぶっきらぼうな印象を他者に与えがちだが、根は素直
で一途。育ての親であるレーテをクリエイターの差し向けた刺客によって目の
前で惨殺された影響からか、クリエイターという存在を強く嫌悪している。こ
のため、クリエイターである美海に対してはつい厳しく接してしまいがち。
 自分と近い波長を持つ蝉を一途に慕い、身も心も全て彼に委ねている。が、
生来の素直でない気質故に、それが表に出る事は滅多にない。

 ・蝉(せん)

 比類なき知識と、何者にも遮る事の不可能なハッキング能力を秘めたクリー
チャーの青年。二十五歳。その能力から、『全能の奏者』と呼ばれる事もある。
 知識と情報の収集管理を目的とした生体データベース『七知泉』の一人とし
て生み出され、『中央政府』のメインデータベースとして使われていたが、反
抗組織の破壊活動の際にそこから解放され、以降、レーテの許で生活していた。
 穏やかな笑顔魔人で、今一つつかみ所がない。曖昧な物言いを多用するため
その真意を把握するのは一苦労、と言われている。特異な出自のため長く自我
と感情を封じられていたが、レーテや秋斗と暮らす内にそれを取り戻す事に成
功した。が、長く感情を失っていた反動もあってか情緒不安定に陥り易く、そ
の度に秋斗に頼ってしまう自分を苦く思ってもいるらしい。
 自分と近い波長を持ち、また、失われていた自我と感情を目覚めさせてくれ
た秋斗に対し、強い愛情を抱いている。普段はぼやかすような表現や物言いを
しているが、独占欲に関しては自分の方が強い事を自覚しているらしい。

 ・美海(みかい)

 辺境の施設で、一人で暮らしていたクリエイターの少女。十七歳。
 クリエイターの中でも天才的な頭脳を持つ事で知られていた科学者・海斗の
一人娘。母親は不明。父が病死した後、その言いつけを守って辺境の施設でい
つか自分を迎えに来る者を待ち続けていた。
 ずっと一人で暮らしていたためなのか、浮世離れと言うのも憚られそうな総
天然ボケのお嬢様。綺麗好きで、風呂に入れないとそれだけで落ち込んでしま
う。だが、ただの天然ボケではなく、時折り鋭い突っ込みを入れる事も。ただ
し大抵は無自覚なので、そういう意味ではやはり天然なのかもしれない。
 秋斗に対し、何か特別な思い入れがあるようだが、どうも恋愛感情ではない
らしい。同性の秋斗と蝉が相思相愛である、という事実は至極冷静に受け止め
ており、そういうものなのだろう、と認識している様子。ある意味、大物かも
しれない。

 ・レーテ

 色々と謎の多いクリーチャーの女性。秋斗を育てた人物であり、その子育て
は本物の親子さながらであったと言われている。
 『中央政府』のメインデータベースとされていた過去を持つが、二十年前、
『七知泉』の導入と前後して突然中央から姿を消した。数年後、赤ん坊の秋斗
と共に辺境に放置された施設に現れ、そこでクリーチャーたちの知恵袋的存在
として生活していた。
 五年前に『中央政府』が差し向けた暗殺者部隊に襲われ、秋斗の目の前で生
命を落とした。死に際し、自らの記憶と知識の全てを蝉に託している。

 ・海斗(かいと)

 幼い頃から天才の名を欲しいままにし、数々の発明と研究でクリエイターの
存続に貢献してきた科学者。美海の父。
 その功績によりクリエイターの中での地位を約束されていたものの、二十年
前に全ての職を辞して辺境の地に引きこもってしまった。
 八年前に一人娘の美海を残して他界。美海の母に関する記録は何一つ残さず、
静かに息を引き取った。

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